夕暮れと缶コーヒーと霧雨と君にさよなら告げて3月
焼肉の煙はきみの思い出を燻製にして春へ連れてく
すごくよい歌だったのに春晴れの伊那に忘れてきた上の句を
空席をたくさん乗せて雨の中街へと向かう 春へと向かう
あの人に送りたかった春のうた思い出せずに雨のなか行く
今年一暖かい春の夜だから短歌を読みたくなるコーヒー屋
日が長くなったねという君からのメールとフレンチフライ待ってる
アスファルト濡らしはじめた五月雨は僕らを夏に運ぶだろか
いつもより強く激しく叩かれるエンターキーとおれの人生
コーヒーは冷めたらだめと言う人を思い出してる 午後が過ぎてく
ハリポタのロンの母さんの編み物の話をしてる人がいる午後
クレイジー・ソルトのように人生はそう簡単に味付けできない
きみだけに伝えておこうレベル4の権限なんかなくたっていい
君に似た後ろ姿を見たような気がした 山手線が止まった
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