「1人で歌う尾崎より、20人で歌う尾崎のほうが迫力あるもんな」

私の理想の秋は、晴れ渡った空とひんやりとした心地よい風を感じられる秋。それなのに最近は、なんだか曇りばっかりで残念です。でも紅葉を乙に撮るには曇りがいいのだそうです。

さて、今日紹介するのは、合唱をテーマにした青春激アツ系映画「うた魂♪」です。ガレッジセールのゴリ、夏帆、薬師丸ひろ子など、なかなか洒落乙なキャスティング。正直言って、どうせウォーターボーイズやスウィングガールズと同じベクトルなんだろうと、半信半疑で借りてきたのでした(断っておきますが、どちらも大好きです)。それはつまり、何かに必死になる→何らかのトラブルが起こる→危機を乗り越える→ハッピーエンドという、しばしば私たちを飽きさせる起承転結的なベクトルです。そして、その予想は大きく裏切られたのでした。

この作品はそのベクトルとは数十度異なるものを描いていました。正直言って感動しました。私は日本映画にこれほどまでいい印象を抱くことはめったにありません。異なるベクトルというのは、主人公自身が思い悩むストーリーにあります。そして、それを乗り越えて成長していくのです。しばしば日本映画に欠如しがちなメッセージ性がちゃんと含まれているように思いました。

しかし、よく考えてみると、ストーリーの展開はぬるいし(私がよく言うところのテンポが悪い)、あと3ひねりくらい欲しいし、おそらく映画がもっと好きな人から言わせたらイマイチかイマサンくらいなのかもしれません。ただ、この映画をここまで感動的にしているのが、合唱そのものです。1つめの合唱シーンで歌われる尾崎豊の「15の夜」は本当に素敵です。編曲が素晴らしい。ピアノのイントロはやさしくて切なく、「とにかくもう学校や家には帰りたくない」のところは絶妙です。最後の合唱シーンに出てくる同「僕が僕であるために」も素晴らしいです。

残念なのは、合唱シーンがしばしばカットされていることです。「15の夜」も1つめのサビまででカットされてしまっています。Amazonで調べてみると、(レンタル版ではない)DVDにはノーカット版の合唱シーンが収録されているとのこと。だったら最初から本編に入れんかい!と思ってしまいます。フルコーラス入れたら見ている人を飽きさせるかもしれないという懸念があったのかもしれませんが、尾崎好き、あるいは合唱好きの人が見る映画としては省略は許せません。よっぽどDVDを買おうと思いましたが、YouTubeで検索したらあったので、買うのはやめました。

久しぶりに感動しちゃった映画です。TSUTAYAに行ったら是非借りてみてください。

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うた魂♪フル!!! [DVD]

参考までにYouTubeにPVがあったのでどうぞ。

「15の夜」や「僕が僕であるために」のノーカット版もありますが、もしDVDを見るつもりなら、それまではどうか我慢してください。感動が半減してしまうかもしれません。