最近はもっぱら邦画にハマっていて、洋画というとTwenty Fourくらいしか見ていない。邦画というと、ダラダラとした脚本、小さい音量のセリフ、ゆっくりなカメラワーク…といった偏見が少なからずあるだろう。だからこそ、TSUTAYAの棚に隠れているかもしれない洒落乙な作品を探してみたい。そして、それを人にこっそり勧めてみたいと思うのである。
今日紹介するのは、カンニング竹山主演の「ねこタクシー」という作品だ。TSUTAYAでいろいろ手にとっては戻しを繰り返し、最後に選ばれたのがこれだった。映画版とドラマ版があったのだが、まあまずは映画版を見るべきだろう。
率直に言って、とても素晴らしい映画だった。小さい音量のセリフというのは避けられなかったが、ちょうどいい長さで、とても気持ちのよいストーリーだった。
最初の数十分、中3の娘の反抗期っぽいシーンや、仕事場での売り上げ最下位のシーンなどを見ている限りでは、「あ、これどうせ、ネコが出てきて家庭も仕事も円滑になってハッピーエンドだろ」と思ってしまう。でも、その悪い予感はことごとく裏切られた。同車の同僚や所長、妻や娘、保健所の職員までも、取り巻く人すべてが実はみんなとても温かくていい人たちだったのだ。ネコを飼うことに対して妻が反対したときに娘が賛成するのだが、そのときに娘が父にかける言葉がとてもいいのだ(ここでは書かないが)。ねこタクシーというくらいだから、猫が主役なのだけれど、登場する人みんなが強すぎず弱すぎず上手くバランスを取っているように感じた。
水木一郎の主題歌「ソラノワダチ」は、この映画にこそふさわしい素晴らしい曲だった。シンプルだけど、いい曲だ。エンディングロールの映像ともいい関係だった。思わずiTunesで購入してしまったことは言うまでもない。
この映画は猫ファンに向けたものではないと思う。この時代に、何か私たちに足りないものを与えようとしているように感じたのだ。それはもちろん、家族の温かさだったり、世の中の一見すると邪魔だけど不可欠な存在であったり、発想力であったり、希望であったりするだろう。見終わった後に、明日も頑張れるという気持ちがわいてくる。そんな映画だった。それはきっと、この映画の最大の魅力がカンニング竹山を使っているというところにあるからだと思う。彼はいい芸人でもあるが、この作品の中では非常にいい俳優であった。この役柄に彼以上に適した人はいないだろう。そうでなければ、運転免許を持っていない彼を主演にするということはないだろう。
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映画版 ねこタクシー
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