すべての物事には少なからず相関関係があって、一見関係のないことが大きく言えば人生のクオリティをさりげなく左右している、という話はよく聞かれる。僕の大好きな映画の中では、「人生はクッキーの出来にさえも左右される」と語られる。だから、革製品はもちろんのこと、家電製品や乗り物、ペンの1本でさえも、ガチで選んで使いたいといつも思う。

スターバックスに行くと、美大生と思われる数人の学生がカウンター席に座り15インチのMacBookを広げてイラレを操っている。ハイスペックなMacBookにも、デザインのセンスにも敬意を払わずにはいられないが、ときどき気になることがある。彼女たちが使っているマウスが、しばしば、ビビッドな色でかわいいだけのワイヤレスじゃないLEDの、いわゆる安価なやつだということだ。一度でもレーザーのマウスを使ったことがある人なら、レーザーじゃないマウスは買えないだろうし、そう考えると、いいマウスを使ったことがないのかな、とも推察できる。十数万円する高性能なラップトップと、これもまた高価なAdobeのパッケージを持っていながら、なぜ千円ほどの安価なマウスで満足できるのかと思ってしまう。もちろん、どこに価値を置くかというのは人それぞれの問題なので、僕の考えを強要するものでは決してないが、せっかくマウスを持ち歩くなら、ワイヤレスでレーザーのやつのほうがいいのに、と思う。15インチのMacBookが作業効率をかなり高めてくれるのと同じように、高性能なマウスも作業に伴う多くのストレスから僕たちを解放してくれる。そのことを知って欲しいと思う。そんなことを思いながら、2つほど隣の席で、僕はテキストを打つ(カフェに行くときはマウスは持って行かないことが多い)。

大学の図書館を歩いているとき(に限った話ではないが)、僕は席に座っている人をつい見てしまう。ラップトップのメーカーも気になるが、音楽を聴いているなら使っているヘッドフォンも気になる。1万円を超えるような結構いいやつを使っている人もいる一方で、千円~2千円程度の安価なもの(やはりこれもビビッドな色使いなことが多い)や、音楽プレーヤーに付属のものを使っている人も少なくない。僕は高校1年の頃、当時の価格で1万円くらいのオーディオテクニカ製のものを買った。iPodが安いものだと1万円と少しで買えることを考えると、そのヘッドフォンは高すぎると思う人もいるかもしれない。ただ、僕の中では1万円以下のヘッドフォンは安価な部類で、5千円くらいを境に音質が劇的に変わると思っている。安易な言葉を借りて言うなら、解像度が全然違う。もうすぐ春だし音楽でも聴こうと思っている人は、自分のiPodを持って量販店のヘッドフォンコーナーへ行ってみるといい。そして、好きなデザインの中で、そこそこ高性能なやつを試聴してみて欲しい。いつも聞いている音源に含まれる情報量の多さに、驚かずにはいられないはずだ。