トニックな人に恋した年初め 今ならサビへ行ける気がした

七輪に餅を並べてムツーキの夕陽はにくい 恋したくなる

ひとつずつカーソル左に移動して1,200字を遡る恋

おしるこの塩気のようにあまりにもさりげないけど大切な人

人生のようじゃないかと積分を解いている子に言ってみる冬

改札を行く彼止めるCMのような恋とは限らないけど

窓際から伝わる冬の冷たさを楽しんでいる人といるカフェ

なんにでも「恋の」とつけてしまうんだ それはポン酢のようななにかだ

きっとまた深夜のホームセンターの3番通路に置いてきた夢

冬とネギ

襲撃を受けたけれどもまだ来ないデルタチームに座標を送る

雪の舞う街角ふたり恋愛のポータビリティを語らっている

節分も過ぎれば立春 だんだんと恋のつぼみも膨らんでいく

旧暦はなぜ早いのと子に問われ 春あせる恋をしたからという

若すぎて恋する自分に恋してた そんな気もする 悔しいけれど

雪解けとコーラの氷のゆれる音 遠くでまわっているかざぐるま

オブラートほどの脆さに包まれた想いがゆっくりとけだしてゆく

歩道橋の上で感じた春のにおい あの夏タイムアウトした恋

イントロの次第に下がるベース音 何かを予感しているようで

君一番と言ってたアイツも恋をした 街吹き抜ける春に恋した