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冬の始まりに読みたくなる「木曜日にはココアを」

暖冬と言われている今年も、あと1ヶ月と少しを残すところになった。どの季節も気がついたら始まっていて、あっという間に過ぎ去ってしまう。でも、それこそが季節というものだ、と思う。

冬のはじまりは、ホットココアを飲みたくさせる。スターバックスに行くと、僕は四季を通してホットのラテを飲むのだが、このシーズンはついココアを頼んでしまう。あまりにも甘いんだけど、甘くなければならない。曇っている窓の向こうに街が輝いて、僕は冬が来たことを知る。

さて、先日読んだ本を紹介しよう。青山美智子「木曜日にはココアを」である。2017年に宝島社から出版されたもので、まだ文庫化されておらず、Kindle版も存在しない。

短編集であるのだが、それぞれの物語が少しずつリンクして、作品全体で大きなストーリーになっている。コアとなる主人公は喫茶店をやっている青年なのだろうが、それぞれの章にそれぞれの主人公が設定されている。さっきまで脇役だった人が、次の章では主役になっていたりする。そして、最後にはまた喫茶店に舞台が戻ってくる。

どのストーリーもそれほど難しくはなく、サラッと読むことができる。僕は難解な小説より、本作品のようにしつこすぎない小説が好きだ。それぞれの主人公はみんな救われるし、悪者はひとりとして出てこない。そして、誰だって少なからず持っている様々な劣等感が、登場人物を通してとても丁寧に表現されている。

読書家たちは軽すぎてつまらないと言うかもしれないが、僕はどうしたって、このくらいの小説が好きだ。最初の数ページを読んだところで、多分こんな結末かもなぁ…となんとなく思い描けてしまうかもしれないが、それもまたオツであり、冬にちょうどいい気がする。

この小説は、あなたのお気に入りのカフェで、ブラックコーヒーでも悪くはないが、ホットココアを飲みながら読んでほしい。オススメである。ちなみに、ホットチョコレートではちょっと重すぎると思われる。

買い物しようよ!

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