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僕たちはスクリーンタイムについて本気で考えるべきフェーズに来ている

皆さん、いかがジーダブお過ごしでしょうか? ちなみに、ジーダブって大型連休の最高にイケてる呼び方ですよ。ぜひ使ってみてください。

さて、GWに久しぶりに会う友達と待ち合わせをしているシーンを思い浮かべてほしい。場所はどこでもいい。公園のベンチ、駅の改札、もしくはスターバックスの一番奥の席かもしれない。ただし今回は、書店はナシだ。

書店での待ち合わせが最も優れていることは言うまでもない。本を読みながら友達を待つことができるからだ。書店があったらいいんだけど、そういうわけで今回は書店はナシで考えてみよう。

普段から5時間前行動を意識している割には遅くなってしまった。といっても、約束の時間まではまだ30分もある。さて、あなたはどのようにして、その30分間を過ごすだろうか。

それは、あまりにも簡単すぎる問いだ。10人中の9人が、何の迷いもなく「スマートフォンを開く」と答えるはずだ。リーディングリストに追加しておいた読むべきハフポストの記事があるわけでもないのに、ただなんとなくスマホを開いて、なんとなくInstagramとTwitterをスクロールする。ほら、30分なんて一瞬だ。

もちろん僕も例外ではなく、いつでもどこでもスマートフォンを開いてしまう。自覚は十分にある。SNSはもちろんだけど、iPhoneの「スクリーンタイム」機能でチェックすると、意外と時間を占めているのがYahoo!ニュースだ。ニュースの本文を読んでいるというよりも、まったく不毛なだけのコメント欄をなぜか読み漁ってしまうのだ。たぶん僕だけではないと思う。

書店で山積みされていた新書「スマホ脳」を買ってみた

ここ数ヶ月、書店の一番目立つところに山積みされていた新潮新書の「スマホ脳」という本が若干気になっていたのだが、立ち読みしてもしきれないし、Kindleで購入して読んでみた。「先生、Kindleはスクリーンタイムに含まれますか?」

著者はスウェーデン出身の精神科医アンデシュ・ハンセン。ちなみに、他の出版社だと「アンダース・ハンセン」と表記されていることもある。英字表記は“Anders Hansen”だ。

この「スマホ脳」という著書は、本国では2019年に発表されたが、日本では2020年11月に新潮新書から久山葉子の翻訳で発売された。以降、先述の通り、書店では入口近くの島に積まれているし、Amazonの新潮新書カテゴリでも1位である。(2021年5月現在)

あくまでも科学的で中立な視点で書かれた本

新潮新書の付けたタイトル「スマホ脳」はなかなかインパクトがあり、書店に来る人びとの目を引きつけてくれる。一方で、悪く言うなら、「どうせ、スマホは諸悪の根源、捨て去ろうぜ!」的な陳腐な内容なのではないか、と思わせてしまう。

原題は“Skärmhjärnan”で、直訳すると「スクリーン脳」らしい。ちなみに、英語版は“Insta-Brain”とのことだが、実際本文中にもInstagramの話が出てくるし、なかなか面白いタイトルである。

というように、この本は各国で攻めたタイトルなのだが、スマホの害悪を羅列しているだけというものでは決してない。著者自身の仕事上の経験や観察、多くのデータをもとに、あくまでも科学的に、中立な視点で書かれている。なので、それほど重たくならずにサラッと読むことができる。

内容は結構ボリュームがあり、広く浅く書かれていて、読み応えがある。人間のストレスの仕組みから、スマホの影響、SNSの弊害、運動の大切さなどから構成される。もちろん、上のリンクから購入して全文を読んでくれたらいいので、ここでは特に考えさせられたトピックをいくつか紹介するだけにしておく。

人間は、カロリーをできるだけ蓄えるようにプログラムされている

人口のほとんどが飢餓で死亡していた一昔前(何千年前?)、僕たちはエネルギーになるものを少しでも多く摂取して体に蓄えなければならなかった。カロリーを摂取できるかどうかで、生きるか死ぬかが決まった時代だ。

何千年もの時間が過ぎて、ほとんどタダでカロリーを過剰摂取できる時代になった。そう、必要以上にだ。しかし、人間の脳は、カロリーを目にすると「すぐに口に入れろ!明日には手に入らなくなっているかもしれない!」と叫ぶのだ。だから、太るのは必然であり、世界中で肥満と2型糖尿病が圧倒的に増えたのだ。

というような例をいくつもあげながら、人間の脳や進化のしくみを、分かりやすく解説してくれている。肥満が増えた話は一例にすぎない。スウェーデンでは人口の9人に1人が抗うつ薬の処方を受けているというデータも出てくるが、これも人間の脳のしくみが現代の暮らしにマッチしていないためだと解説する。

ストレスのシステムは、今よりもはるかに危険の多い世界で生き延びるために発達してきた。目の前に現れたライオンと戦うべきか逃げるべきか、という類いのストレスだ。現代では、ありがたいことに、そのような命に関わるレベルのストレスは存在しない。代わりに、仕事の締め切りや高額な住宅ローン、自分の写真に「いいね」がつかないこと、などの長時間継続するすストレスを受けるようになった。命に関わるものでなくても、長期にわたってストレスホルモンの影響を受け続けると、脳がちゃんと機能しなくなる。ライオンと戦うか逃げるかというような「即座に解決すべき問題以外は後回しにする」という脳の仕組みを理解すれば、自然なことだ。

各セクションの見出しのところに、格言みたいなのが載っているのだけど、僕はこれが気に入った。

地球上に存在した時間の99%、動物にとってストレスとは恐怖の3分間のことだった。その3分が過ぎれば、自分が死んでいるか敵が死んでいるかだ。で、我々人間はというと? それと同じストレスを30年ローンで組むのだ。

― ロバート・サポルスキー

スマホ脳(アンデシュ・ハンセン/久山葉子 訳)より

少しの運動がストレスを予防して、集中力を高めてくれる

本書のメインともいえる、スマホが僕たちに及ぼす影響とか、SNSの話は、本を買って読んでくれたらいいと思う。あとは、最後の方に「運動が大切だ」というセクションがあるのだが、このあたりにも触れておきたい。

これもまた、研究結果や引用データをもとに、一日にわずか数分であっても体を動かした人のほうが、集中力が高まると解説している。サバンナの時代においては、狩りをしたり自分が追われたりするとき、つまり動いているときに最大限の集中力が求められた。

現代では、スクリーンタイムが増えた代わりに、運動量は圧倒的に減ってしまった。ほんの数分の運動だけでも、僕たちの不安を取り除いたり、集中力を高めることが分かっている。少し速く歩くだけでもいいし、できれば心拍数が上がる運動だともっといい。具体的には6ヶ月間に最低52時間、つまり週に2時間の運動が必要だと、著者は言う。

僕は普段からランニングをしているので、週に2時間はなんとかクリアできていると思う。1時間のランニングなら週に2回である。いや、クリアできていない!

ちなみに、2018年にサンマーク出版から発売された「一流の頭脳」を読んだ方もいるかもしれないが、これも大ヒットしたことが記憶に新しい。スウェーデンでは60万部売れたらしいが、人口1,000万人と考えると驚異の部数だ。ちなみに、僕はまだ読んでいないが、おそらく、体を動かすことによって脳がちゃんと機能する、という内容だと思われる。近いうちにぜひ読んでみたい。

というわけで、今日は、話題の新書「スマホ脳」についての記事でした。値段もそれなりにしますが、結構おもしろかったので、ぜひ読んでみてください。

ではまた。

買い物しようよ!

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