どうも、こんばんは。IPPEIです。
ここ数ヶ月、古くからの友人に会う機会が何度かあった。それぞれの人生について近況報告をして、そしてコーヒーを飲む。わいわいな飲み会よりも、コーヒーと共にある時間があまりにも幸せに感じる。オジサンになったと思う。
高校1年で同じクラスだったマブダチ(四半期毎にお茶をする間柄)は会うたびに言う。「私たちももう35歳、出会ったのが15歳だから人生でお互いを知っている期間の方が長くなったな!」
20歳くらいの頃は、こんなにもあっという間に時間が流れていくなんて、想像すらしていなかった。年をとることは一概に悪いことではないけど、できることなら20代をもう2周くらいやってから30代に入りたかったとも思う(誰だってそうだろう?)
凪良ゆう「汝、星のごとく」をついに読んでしまった
本屋大賞で話題になった、この小説をやっと読んだ。読書は基本的にKindleなので、文庫化されて、しかもセールのときに買うことが多いのだけど、書店で立ち読みしたら続きが気になってしまって、図書館で借りて読んだ。
一応、ネタバレにならない程度に紹介しておく。主人公は17歳の男女(櫂と暁海)。2人が出会って恋をして、そこから32歳くらいまでの人生が、視点を頻繁に切り替えながら進んでいく。冒頭3分の1くらいは「陳腐な恋愛小説かよ」と思わせておいて、とんでもない、後半にかけてどんどん引き込まれてしまう。当然のごとく、それぞれの人生にはそれぞれの困難がある。それでも自分の人生を自分で生きていくしかない。救われないようなシーンも当然ある。そんな中で、脇役としての登場人物がとてもいい味を出している。北原先生は特に素晴らしい。最後になって、プロローグの伏線が回収されるところは、見事だ。
まだ読んでいない人は、とりあえず読んでみてほしい。Amazonにある多くのレビューのように、僕は決してべた褒めしているわけではない。だけど、人生について多くを考えさせられるし、ところどころ泣けるし、少しばかりのエネルギーを得られると思う。時間的なスケールが大きすぎて読んでいてぐっと疲れるけど、それでも2~3日で一気に読んだほうがいいね。
続編の「星を編む」も、熱が冷めないうちにと思い、すぐに読んだ。前編に引き続きとてもおもしろかったけど、正直にいうと前編には及ばないと思った。3章ともいい話なんだが、最後の方は主人公が60歳くらいになっちゃってて、さすがにちょっと時が流れすぎ感が否めなかった。
出会う人、みな財産。
さて、ちょっとだけ余談。誰だかは覚えてないんだけど、小学校のときの担任以外の先生が、座右の銘として紹介していた言葉だ。今でもずっと覚えているし、そして、今の僕の礎になっている言葉だ。
この小説を読んで、ちょうど自分と主人公の年齢がおおむね重なるせいかもしれないが、「出会う人、みな財産」という言葉があらためてとてもしっくりくる。10歳のときにはよく分からなかったけど、35歳になった今ではあまりにもよく分かる。いや、分かりすぎる。
人間関係(もちろん恋も含まれる)はややこしいもので、しばしばくっついたり離れたりする。そして、たいていの場合、失ったときにこそ大切さに気づいたりする。人は誰だってスチューピッドだからね。僕自身も例外ではなく、多くの人と出会ったり別れたりしてきたわけだが、そのすべてがかけがえのないものだと思える。陳腐な言葉だが、みんな幸せであってほしいと思う。
会いたい人には、東京だろうがニューヨークだろうが、会いたいときに会わなければいけないと思う。そんな気持ちにさせられた小説だった。
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