最後に少しの救いがある小説が好き

どうも、こんばんは。趣味は読書とランニング、IPPEIです。

若者いや日本人の活字離れと叫ばれて久しいが、無理もないと僕は思う。30年前であれば、手元で楽しめるコンテンツといえばテレビや書籍くらいしかなかったけど、今ではスマートフォンひとつでありとあらゆるコンテンツに(しかもおおむね無料で)アクセスできるようになった。1日の時間は有限だし、その中で読書のプライオリティが下がるのは必然である。

僕にとっては、YouTubeを見るのと同じくらい本を読むことが好きなんだけど、そのへんの価値観は人それぞれだ。だから別に「本を読みましょう」と言うわけではない。ただ、本を読んでいる人が僕は好きだ。3割増しで素敵だと思ってしまう。ここまでのくだりは非常にどうでもよい余談である。

さて、最近になって図書館を使いはじめた。本棚のキャパシティが限界を迎えたからだ。基本的には、小説は文庫化されてからKindleで読む派なんだけど、まあ専門書なんかは紙の本を買うことが多い。また、出たばかりの小説をどうしてもすぐに読みたいときは、メルカリで買って読んで売るということをしてきた。だいたい単行本なら1,000円くらいで売買できるので、メルカリに10%取られることを考えても100円で読める計算になる。買うのは簡単だが、売るのはそれなりに手間だ。まあ、いずれにせよ狭小な集合住宅に置ける本棚にも限りがあるため、単行本に限らず、紙の書籍をこれ以上増やすことは避けなければならない。そこで図書館で借りるという作戦を思いついたというわけだ(いまさらである)。正直に言うと、読書好きな人に教えてもらったのだが。

快適な温度とデスクを求めて図書館を利用したことは何度もあるが、本を借りるのなんて小学生ぶりだろうか。最近は複数の図書館の在庫情報を横断検索できる「カーリル」というウェブサイトがあり、読みたい本がどこの図書館にあるかをサクッと検索できる。実に素晴らしい。僕の住んでいるエリアでは南箕輪村図書館が在庫状況がわりと良さそうだったので、さっそく会員登録をして借りてみることにした。

瀬尾まいこ「私たちの世代は」を読んだ

瀬尾まいこ「私たちの世代は」は2023年に発売された本。ずっと気になっていたのだが、図書館に在庫があったおかげでようやく読むことができた。

書店に平積みしてあったら間違いなく手に取ってしまう、なんとも言えないエモいのデザインの表紙。2本のラムネの写真は、岩倉しおりさんっぽいなあと思っていたら、やっぱりそうだった。

今でもふと思う。あの数年はなんだったのだろうかと。
不自由で息苦しかった毎日。
家で過ごすことが最善だとされていたあの期間。
多くの人から当たり前にあるはずのものを奪っていったであろう時代。
それでも、あの日々が連れてきてくれたもの、与えてくれたものが確かにあった―。

(書籍の紹介文より一部引用)

コロナ禍を過ごす2人の小学3年生と、彼女たちが大人になっていくまでの話が、視点だけでなく時代も行き来しながら描かれていく。読み終わってみるとすごくいい構成だと思うが、冒頭数十ページまでは少しばかり戸惑いながら読んだ(理解力…)

思い返すとコロナ禍は本当に大変だったし、誰にとっても失うものがあまりにも多かった。一方で、そのおかげで得たものもたくさんあったはずだ。この2人が大人になってから知り合ってカフェで意気投合するシーンなんかは、じんわりくるものがあった。もちろん小3の彼女たちには知るよしもないが、どんな困難も結局はどこかにつながっていくし、人生はなんだかんだうまくできている。

これに限らず、瀬尾まいこの小説は、全体的にほどよい重さで、最後に少しの救いがあるところがとても心地よい。登場人物たちに「よかったね」と伝えたくなる。まったく激しいクライマックスとかでは全くないんだけど、温かくてやさしい話で、ちなみに僕は何度か泣いた。

瀬尾まいこは昔からいくつか読んだことがあって、とても好きな作家のひとりだ。映画化されて話題になった「そして、バトンは渡された」もすごくよかったけど、中学の陸上部をテーマにした「あと少し、もう少し」は特に好きだ。読んでいると、本を閉じて走りたくなってしまう(笑)。ランニング好きにも、そうでない人にも、オススメの一冊だ。

最後に、今年も一年ありがとうございました。2025年も当ブログをよろしくお願いいたします。よいお年をお迎えください。

買い物しようよ!

コメントを書き込む

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

コメント

おや、コメントがまだありません。