さてさて、ガジェット界隈ではお待ちかねだったSynology製の最新Wi-Fiルーターが発売された。前モデルであるRT2600acが2017年7月発売だったことを考えると、実に4年越しの新モデルというわけだ。

RT2600acも家庭用にしては十分なスペックを備えていたし、当時としてはそれほどメジャーではなかったメッシュ機能も搭載していたし、そこに加えてVPNサーバー機能も充実していた。ただ、さすがに4年も経つと11acは時代遅れ感が否めなかった。あと、v6プラス使用時のスループットが遅いという難点もあった。

そして、2022年5月末、ついに日本でもRT6600axが発売された! というわけで、早速のレビュー記事である。

カニのようなゴッツいボディ、でも思ったほど大きくない

発表直後にはTwitterで「カニのようだ」と書き込まれているのも見かけたが、思ったほどは大きくなかった。(いや、デカいだろ)

海外製品では普通のことだが、例によって説明書はこの紙1枚だけだった。Wi-Fiつないでブラウザ開いたら、URLを入れなくても自動的にセットアップ画面が出てきたぞ。

妥協のないスペック

今回、4年ぶりにモデルチェンジしたRT6600axでは、主に以下の内容について大幅にアップグレードした。控えめに言って、家庭用にしては最強である。

  • 11ax対応のトライバンドWi-Fi
    5GHz帯: 4,800Mbps+1,200Mbps
    2.4GHz帯: 600Mbps
  • 4つあるLANポートの1つに2.5GbEを採用(WANポートとしても使用可能)
  • 最大15個のSSID(もちろんネットワークを分離可能)
  • VLAN対応
  • VPNサーバー(SSTP、OpenVPN、L2TP/IPSec、PPTPなど)

2022年6月現在、価格は4万円〜4万5千円。こんな高くて誰が買うんだよ、と思うかもしれない。しかし、冷静に考えると実はかなりコスパ高いのである。6万円でYAMAHA RTX830を買って、さらにそこそこ速いWi-Fiを導入するコストと比較すれば、v6プラス対応ルーター、11ax Wi-Fi、そこそこのVPNサーバー機能が4万円台で用意できるんだからね。

これだけ見ても、十分に購買意欲をかき立てられるはずだが、肝心のWi-Fiの通信速度と、ルーターのスループットはどうだろうか。早速テストしてみた。

11ax(Wi-Fi 6)はバリバリ速い!

これは、このルーターに限った話ではないだろうが、11axは驚くほど高速である。NASからPCにファイルをコピーして速度を確かめてみた。

922Mbpsと、かなり高速で通信できているようだ。ちなみに、NASのLANポートが1Gbpsなので、ほぼ上限と言ってもいいだろう。

Wi-Fi自体は2402Mbpsでリンクしているので、2.5Gbpsポートに対応しているNASをつなげば相当快適に使えるのだと思う。残念ながら、僕はこのスペックを試せる環境を持ち合わせていない。

11axを初めて使ったわけだが、速度が速いということはもちろん実感したが、それ以上に反応が速いことに驚いた。NAS上のフォルダをブラウズしていくときのサクサク感とか、ネットサーフィンしてページを読み込み始めるときの反応速度が全然違う。この違いが11axによるものなのか、ルーターの違いによるものなのか定かではない。ただ、ひとつだけ言えるのは、速いことは正義だということだ。

v6プラス(MAP-E)のルーター性能も十分速くなった

fast.comでの測定では、ちょうど500Mbpsが出た。このサイトは気まぐれでIPv6でつながったり、IPv4でつながったりするのだが、このときはIPv4でつながった。つまり、v6プラスのスループットである。

続いて、minsokuこと「みんなのネット回線速度」での測定結果だ。こちらのサイトは、通信環境を割と正確に自動判定してくれるし、IPv4とIPv6それぞれの速度を測ってくれる。v6プラスも、ネイティブIPv6も、どちらも超速いという結果になった。ただ、IPv6の上りが若干遅いのが気になるが、ルーターのせいではないと思う。

ちなみに、今まで使っていたRT2600acの場合、ネイティブなIPv6は十分速いのに、v6プラス(MAP-E)での通信速度がやや遅かった。だいたい100~150Mbpsくらいだった。MAP-Eの場合はルーターでNAT処理をしているわけだが、結局のところスペック不足だったのかもしれない。YAMAHAのルーター欲しいなあ、といつも思っていた。

時間帯や日を変えて何度かテストしてみたが、最新モデルのRT6600axでは、v6プラスの速度も十分出ているようである。1Gbpsの回線であれば十分な性能と言えるだろう。

VPNも十分実用的な速度を実現している

続いて、VPNのスループットをテストしてみた。どのようにテストしたかと言うと、SSTPとOpenVPNで別の回線から接続して、NASからファイルをダウンロードした。ちなみに、SSTPとOpenVPNでの速度の違いは見られなかった。

見てのとおり、12MB/sでファイルを転送することができた。

計算すればいいだろうという話だが、タスクマネージャーで確認すると119Mbpsだった。ちなみに、外出先の回線速度がボトルネックになっている可能性もなくはないので、また違う回線でもテストしようと思っている。

でもまあ、100Mbpsもあれば、外出先からNAS上の4K動画を再生するくらいのことは余裕でできそうだ。便利な時代になったものだ。

このスペックで4万円なら全然アリ

というわけで、Synologyの最新Wi-Fiルーター「RT6600ax」を早速買ってしまったIPPEIだが、お世辞抜きに言ってこれは大正解だった。ぶっちゃけ2万円出したら11ax対応のメッシュWi-Fiが手に入るわけだが、MAP-EやDS-Liteに対応していてVPNサーバー機能があるものは、おそらくSynologyしかないのではないだろうか。最良にして、唯一の選択肢と言っても過言ではない。

一方で、YAMAHAの高性能ルーターを持っているのであれば、巷のメッシュWi-Fi(たとえばNETGEARやTP-Link)を買うのもアリだろう。まあ、RTX830もどんどん値上がりして、なかなか手が出ないのだが。一昔前まで5万円くらいで買えたのにね。

あと、余談だけど、Synologyのルーターのいいところは、v6プラス接続下でもVPNサーバー機能が普通に使えることである。ポート番号を任意に設定できるOpenVPNとSSTPに限られるが、この2つが使えればまず困らないだろう。Synology独自のDDNSも無料で利用できるし、IPv4(Aレコード)とIPv6(AAAAレコード)をそれぞれ登録してくれる点も地味に嬉しい。YAMAHAにもネットボランチという無料DDNSサービスがあるけどPPPoEしか使えないんだよね。(いや、僕が知らないだけかもしれないけど)

というわけで、長くなってしまったけど、今日はRT6600axのレビュー記事でした。ルーター沼にはまっている方には特にオススメです。ちなみに、速度はもちろん、安定性もかなりいいです。

こちらは、だいぶ前に書いた、v6プラス環境下でVPNを使うための設定をする記事です。RT6600axについて加筆修正しました。よかったらご覧ください。