2024年に読んだIPPEI的ベスト本を振り返る

どうも、こんばんは。ガジェット好きでありながら、読書も大好きなIPPEIです。

早いもので2024年もまもなく終わりを迎えようとしている。ついこないだ新年を迎えたと思っていたのに、恐ろしい限りだ。

今年は、例年に比べて少しばかり多くの本を読んだ。多くの素晴らしい本に出会えたということもあるし、時間の使い方に気をつかうようになったこともあるだろう。30歳も半ばになり、QOLを向上させようといろいろあがいてたような気もする。喫茶店で朝食と読書、昼過ぎからランニングというのが、最近の休日の過ごし方になっている。文章を書くときに助詞ひとつを吟味するように、休日をどう楽しむかを考えることが人生の質を大きく左右するというのが、最近の僕のテーマである。

忙しいことを理由にして、読書のプライオリティを下げてしまいがちな昨今。しかし、iPhoneのスクリーンタイムをチェックすれば、Instagramをスクロールしているだけの不毛極まりない時間が一日の多くを占めていることに気がつくだろう。やつらは我々から「ギガ」だけでなく時間を奪っているのである。そういうのはもうウンザリだよな。

2024年(もしくは2023年)に読んだ本の中から、オススメをいくつか紹介しようと思う。

アンディ・ウィアー「プロジェクト・ヘイル・メアリー」

この記事で紹介する書籍の中でダントツの1位は「プロジェクト・ヘイル・メアリー」だ。誰も彼もが面白いと言うものだから、SFなんて読んだことがない僕が、Kindleセールで買って一気読みすることになった。本当に一瞬で読んだ。寝る間も惜しんでとはまさにことのことで、布団に入ってからついつい読み進めてしまい、寝不足の日々を過ごすことになった。

ちなみに、2021年に発売された本なので、ちょっとばかり今さら感が否めない。

主人公が目覚めると、そこは宇宙船の中、しかし記憶はない。そこから地球を回想するシーンと宇宙船内のシーンが交互に展開され、徐々に主人公は記憶を取り戻していく。なぜ自分が宇宙に来ていて、自分のミッションは何なのか、すべてを思い出していく。

ジャンルとしてはSFなんだろうけど、そういう次元の話ではない。読者にフィクションと感じさせないほどの、科学的にもリアルな描写が、次から次へと展開される。SF食わず嫌いだった僕が、ここまでレコメンドするのだから、間違いない。

上下巻ということで圧倒的なボリュームだが、ひとときも冗長なページはない。残りページが少なくなってくると、読み終わってしまうのがもったいない気持ちと、早く読み進めたい気持ちが葛藤することになる。

ちなみに、ネタバレするつもりはないが、ラストシーンは「マジかよ!」って感じだ。主人公は無事に地球に戻れるのだろうか。年末年始にコタツに潜りながら、是非読んでみてはいかがだろうか。

辻村深月「傲慢と善良」

辻村深月といえば、有名どころは2021年の「ツナグ」だろうか。映画もかなり売れたのではないだろうか。実はこの「傲慢と善良」は2023年に読んだのだが、特にこのブログで紹介していなかったので、今回ピックアップすることにした。2022年くらいに文庫化されて、こちらもKindleで読んだ。ちなみに文庫版の解説は朝井リョウである(これもまたよい)

婚約者の真実が失踪して、ストーカーに連れ去られたのではないかという、なかなか穏やかではない話から始まっていく。主人公の架は、真実を探していく過程で、彼女の様々な側面(過去というほうがしっくりくるかもしれない)を知っていくことになる。

恋愛小説でもあり、ミステリーでもあり、なんというか人生について考えさせられる一冊だった。読了までずっと、心をえぐられるような感覚がありながら、それでも読むことをやめられずに一気に読んでしまった。これをハッピーエンドといえるのかは人それぞれだと思うが、まあ悪くない終わりだと僕は思う。

30歳前後の人や、婚活もしくは結婚に悩んでいる人は、とりあえず一度読んでみてほしい。もし結婚について焦っているなら、この一冊を読んでからでもいいと思う。

石田衣良「男女最終戦争 池袋ウエストゲートパーク20」

僕の一番すきな作家といえば、昔からずっと石田衣良だ。この20年のあいだに多くの素晴らしい作家が登場してきたが、それでも僕の中では石田衣良の右に出る者はいない。

池袋ウエストゲートパークは年刊のシリーズもので、今回でなんと20作目になる。主人公は初回からずっと変わらず、池袋で果物屋を手伝っているマコト。1冊に4つの四季ごとのエピソードが収録され、1冊で1年が経過するというスタイルもずっと変わらない。

池袋シリーズのおもしろさは、その時代ごとのホットなトピック(時事ネタとでもいえばいいだろうか)をテーマにしてエピソードが書かれていることだ。今回の20作目では、自転車のバッテリー盗難ビジネスや、フェミニストへのアシッドアタックが描かれている。

石田衣良のよさは、決して難しい言葉を使わずに、軽快なリズムで書かれているところだ。漢字をひらく割合も絶妙にちょうどよく、とにかく読みやすい。まあ、僕が20年以上も石田衣良を読み続けてきて、目が慣れているせいもあるかもしれないけど。

また近いうちに、池袋ウエストゲートパークシリーズ以外のオススメを紹介する記事も書きたいと思っている。

朝井リョウ「死にがいを求めて生きているの」

朝井リョウの小説は半分くらいは読んでいるのだが、僕はわりと朝井リョウが好きなんだと思う。人によっては全然読み進められないという人もいるよね。ちなみに、これはただタイトルが気になって手に取った。

何人かの視点ごとに章立てされた、それぞれの物語。最初は短編集かなと思わせておいて、とんでもない。いくつもの章が少しずつリンクして、最後まで話が複雑かつ軽快に進んでいく。「何者」にも近いものがあると感じた。

この作品に限ったことではないが、朝井リョウは、人間の生き様というか、簡単な言葉でいうとキャラクターを、あまりにも高い解像度で書いてくれるものだから、読んでいてしんどいシーンが多々ある。それがいいんだけどね。

余談だけど、久しぶりに「少女は卒業しない」を読み直したくなってAmazonのページを開いたら、2023年に映画化されているではないか。まだプライムビデオには入っていないが、いつか観たいと思う。

凪良ゆう「汝、星のごとく」

本屋大賞になって、バカ売れした作品。遅ればせながら先日やっと読んだ。もう、なんていうか、すごかった。

レビューについては、先日、別の記事に書いたので、よかったらお読みください。

瀬尾まいこ「私たちの世代は」

久しぶりに読んだ瀬尾まいこの書き下ろし長編小説。これも別の記事で詳しく書いてありますのでご参照ください。

鈴木るりか「星に願いを」

今回初めて読んだ鈴木るりか。小学4年生で小学館の「12歳の文学賞」で大賞になり(石田衣良も審査員の1人だった)、そして中学2年生で「さよなら、田中さん」でデビューしたらしい。

この田中さんシリーズの4作品目が「星に願いを」になるらしいのだが、そんなことを知らなかった僕は、図書館で見かけて装丁とタイトルでなんとなくこれを手に取ってしまった。ちなみに、過去3作品を読んでいなくても全然楽しめるから心配ない。ちなみに、著者は当時20歳である。

主人公は中学3年生の田中さん。前半はお母さんがひったくりにあったり、ちょっとだけ淡い恋をしたりするはなし。後半は祖母タツヨの訃報から始まるのだが、そのほとんどが祖母の日記で構成されている。

知らされなければ著者が20歳だとは読者の誰もが信じないだろう。人生2周目、いや3周目なんじゃないかというくらいの圧倒的な描写力で、特に祖母の日記の場面は見事である。どこかのおばあさんに取材でもして書いてるのだろうか、そのへんは分からないが、いずれにしてもすごいのひと言である。

ちなみに、ちょっと泣ける。他の作品も読んでみたい。

稲垣栄洋「世界史を大きく動かした植物」

小説以外にも1つだけ紹介。Kindle Prime Reading(Unlimitedではない方のやつ)にあって、たまたま読んでみたのだが、めっちゃ面白かった。

いろんな植物(食糧としてのものが多い)が世界を移動する中で、歴史が作られていった様を知ることができる。トウモロコシ、小麦、トマト、ジャガイモなど14種類の植物についてエピソードを紹介していて、ボリューム満点だ。

学生時代は世界史も日本史もまったくできず、いつも赤点ばかりだった僕なわけだが、こういう本に当時出会っていれば少しはマシだったのかと思う。

来年もたくさん本を読みたいと思っている。読書っていいよね。ではまた。

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